内に抱え込む力

外に張る力が強調される一方、内に抱え込む力が七分、のようなことがよく言われる。
たとえば歩法において、足で歩かないようにするには、端的に足を動かさなければいい。自然と身体が動き、内側の力が先行するようになる。この時、外を動かさないように殻のように抑え込む力が必要になる。内に抱え込む力、とはこういうことを(も)意味するだろう。(足は後から勝手に動く、足のことは足に任せればいい)

空手で、突きほど速く引け、等と言うのには、単純に掴まれないようにとか、背脇の力を誘導するためとか、色々意味があるだろうけれど、一つにはこの、内に抱え込む力を示してもいると思う。(この意味では、「突きほど速く引け」は「突いたらすぐ引け」というより「引きながら突け」のイメージの方が妥当だと思う。順番ではなく状態でイメージする)
たとえば前蹴りで腹を抱え込む力を保つと、自然とコンパクトな速く重い蹴りになり、決して身体が後ろに倒れて足だけで蹴るようにはならない。

圧縮し爆発する、等といった、爆弾をイメージしたような比喩描写があるけれど、これも内に抱え込む力が外を抑制することで中が先行する様子を示したものだろう。
また体幹部がピストンのように働くので、内燃機関の動作を連想させるのかもしれない。

外に力を出すからと言って、そこばかり意識すると身体がバラけて末端の力になってしまう。最初に圧が要る。