『スズメのお宿は街のなか』『都市鳥ウォッチング』『都市鳥からフォークロアへ』

 都市鳥研究者の唐沢孝一さんの本を三冊読みました。

4121009487スズメのお宿は街のなか―都市鳥の適応戦略 (中公新書)
唐沢 孝一
中央公論社 1989-11

 タイトル通り、スズメの生態観察です。これが三冊の中で一番おもしろかったです。
 この本で印象深かったことの一つが、殺人犯として収監されていたロバート・ストラウドの話です。彼は獄中で傷ついたスズメを保護したことから、急に鳥に興味を持ち始め、様々な鳥の保護・観察を始めました。しかもただの鳥好きに終わらず、当時未解明であったカナリアの病気の治療法を見つけ出すなど、偉大な業績を残し、1943年には『鳥の疾病の要覧』という本を出版します。ストラウドはそのまま獄中で亡くなったそうです。

4061329146都市鳥ウォッチング―平凡な鳥たちの非凡な生活 (ブルーバックス)
唐沢 孝一
講談社 1992-04

 唐沢孝一さんにはスズメ、カラスをそれぞれ取り上げた本があるので、それらとかぶっている部分もありますが、この本は都市鳥一般を網羅的に取り上げています。

4434074857都市鳥からフォークロアへ―フィールドエッセイ・自然観察の視点
唐沢 孝一
百水社 2006-02

 この本も他とかぶる内容があるのですが、面白いのは民間伝承や文化的文脈における鳥を取り上げていることです。八咫烏など、日本の神話・伝承における様々な鳥の位置づけが扱われています。
 時々ちょっとお説教くさい内容が入るのを除くと、なかなか興味ふかいです。

バーダー、バーディング、バードウォッチャー

 最近、バードウォッチングのことをバーディング、バードウォッチャーのことをバーダーといういう言い方をよく耳にします。結構前から使われていたのかもしれませんが、わたしは最近意識するようになりました。
 バーダーというのはいかにも和製英語くさい、と思っていたら、英語圏で普通に使われている語のようです。しかもバーダー、バーディングの方が好ましい言い方でした。
 Wikipediaによると、

Birder. The acceptable term used to describe the person who seriously pursues the hobby or sport of birding. May be professional or amateur.
Birding. A sport and/or hobby in which individuals enjoy the challenge of bird study, listing, or other general activities involving bird life.
Bird-watcher. A rather ambiguous term used both to describe the person who watches birds for any reason at all, and, more recently, to refer to a person who watches girls. Used mostly in fun. Should not be used to refer to the serious birder. The word “BIRD-WATCHING” is in the same category, of course.
Birdwatching – Wikipedia, the free encyclopedia

バーダー:鳥を見る趣味またはスポーツを真剣に追求している人たちを表す好ましい語。プロでもアマチュアでも使える。
バーディング:個人が鳥を研究したり、声を聞いたり、その他の鳥に関する活動を行う趣味またはスポーツ。
バードウォッチャー:やや曖昧な語。何らかの理由で鳥を観察する人を指すか、最近では、女性を眺める人を指す。ほとんど冗談ぽく使う。真剣なバーダーには使うべきではない。「バードウォッチング」という語も同様。

 とのことです。
 これからはバーダー、バーディングと言った方が良いようです。
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