ベテランネットユーザーと新しいネットユーザーのインタネットの危険に対する意識

 初めて「ホームページ」を作ったのが確か1995年くらいだったと思うので、一般人としてはかなり早い時期からインターネットを活用していたわけですが、こうした「オールドユーザー」と、もう少し若い世代のネットユーザーの間には、「インターネットの危険」について、少し意識の差があるんじゃないかな、とふと思いました。
 といっても、どちらが危機意識が強いとかいう話ではありません。そうしたことは結局個々人の問題でしょう。
 昔から「ネットの怖さ」みたいな話があり、今と違って個人が簡単に顔写真を載せたり、ということはありませんでしたし「IP抜かれる」だの「個人情報の特定」だのといった話がまことしやかに語られていました。ただ、非常におおざっぱに言って、昔語られていた「ネットの危険」というのは、概ね「ネットによって現実生活が脅かされる」類だったように思います。
 そうした話題や実際の危険性は、現在でもあると思うのですが、これに加えて「ネットの中だけで完結する危険」とでも言うものが拡大してきました。たとえばブログを匿名で運営していて、そのブログが何らかの攻撃を受ける場合。あるいは複数のブログを運営していて、予期せずそのつながりが暴かれる場合。こうしたケースでは、必ずしも「現実世界」に被害が及ぶわけではありません。それでも、心理的には相当ダメージを受けることが少なからずあるでしょう。
 それだけネットというものが生活の一部となり、身体化された、ということかもしれません。
 新しいユーザーたちは、こうした危険に対する意識が鋭く、ガードするにせよ敢えてしないにせよ、「そういうケースがある」「自分が傷つくことがあるかもしれない」ということが、頭の片隅にあるように見えます。
 一方「オールドユーザー」で、新しいネットのノリにいま一つ適応しないままネットを使い続けていたりすると、事実としてこういった事象は知っていても、予防にしても起こってしまった時の対処にしても、いま一つスマートではありません。不意を突かれて慌てふためく、パニック的反応になってしまう傾向が強いように思います。
 先進的なユーザーであれば、開始時期が早くても常に新しい潮流を敏感にくみ取っていくわけですが、「古き良きネット」のままぼんやりと月日が流れてしまった、というタイプの人もいます。わたし自身この類なのですが(笑)、こういう人たちは、せめて「自分には穴がある」「弱いところがある」という意識だけでも持っておいた方が、少なくとも心理的予防線くらいにはなるでしょう。

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西村 博之