僕の小規模な生活(5) (KCデラックス) 福満 しげゆき 講談社 2011-11-22 |
福満しげゆきの「僕の小規模な生活」5巻を読みました。
何か急に面白くなっていますよ。いや、元々ジワジワ面白いのですが、5巻になって一皮剥けたというか、基本的には今まで通りの自意識ネタなのですが、「育児」と「長い回想」の二本立てが効いています。
「島田」と聞いて寄生獣の島田を思い出してしまうところとか、声を出して笑ってしまいました。
「長い回想」ネタで、コマの隅っこに「21世紀の僕」がいて、色々ツッコむ、という形式もイイです。これは普段の自意識ネタほど読み手の精神へのダメージがなく、より親しみ易いのではないのでしょうか。作者の方がどれほど意識しているのか分かりませんが、福満しげゆきの自意識ネタは、コミックスなどで長く続けて読むと結構精神的にこたえるところがあって、自意識ネタの面白さを活かしながら、かつよりカジュアルにする方法として、「ツッコむ僕」と「ツッコまれる僕」の間に時間差をもうける、という様式はなかなか良いように思います。
日常ネタでこれだけ描ける、ネタが尽きない、というのはスゴイことだと思いますが、福満さんにはストーリー漫画も描いてもらいたいです。
この前描いた二話完結のゾンビものは非常に良かったので、あの感じでやると良いのではないでしょうか。ストーリーものなのに、作品のノリがいつもの自意識漫画と全然変わらないのがイイです。
ゾンビものの時の、日常と非日常の混ざり合う感じ、なおかつ異様に自意識過剰な主人公、というパターンは本当にいける!と思います。あれでもうちょっとコマ割りを大きく、動きを大きくして、「異様に細かいところ」と「漫画として動きを見せるところ」のメリハリがつけば、もっと売れる漫画になるのではないでしょうか(今でも売れてるのかな)。編集者さんは是非描かせてあげて下さい!