頭文字D(1) (ヤンマガKC (567)) しげの 秀一 講談社 1995-11-02
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おすすめ度:☆☆☆☆
車に全く興味がなく、「どうせDQNマンガだろう」と思って読んだら、思いの外面白かった。
まぁ天才的な主人公が敵を倒しては新たな敵が現れる、という意味では、伝統的なバトルマンガの構造なのだけれど、車に興味なくても引き込まれるくらいには面白い。
主人公があんまりやる気がないのもイイ。飄々として全然熱くなく、他のキャラも「走り屋マンガ」のイメージほどDQNくさくはない。
非常に良かったのは、この漫画にはほとんど女が出てこないことだ。この手の少年漫画・少年系青年漫画には、置物みたいな嘘くさいヒロインキャラが出てきてキャピキャピしているものだけれど、頭文字Dは、確かにヒロイン的存在はいるものの、重要度が極めて低い。しかも結構ビッチで、(わたしが現在までに読んだところまでだと)主人公にも余り本気で相手にされていない。
バトル漫画は、このホモソーシャルで野郎くさいところがイイのであって、変なヒロインなどで場を乱して欲しくない。女なんかに目もくれずに熱いバトルを繰り広げて欲しい。そういう意味では、この女のどうしようもない扱いかたは、好感が持てる。嘘くさい巨乳美少女キャラなんかに走り回られるより、女目線で見ても余程好感が持てる。ビッチ頑張れよ。
頭文字Dを読んで初めて気づいたのだけれど、同じバトル系漫画でも、格闘技と違ってメカの絶対的な差、という要素がある。また、どこで戦うかでも状況が違う。
①ドライバーの能力
②マシンの性能
③場所
の三つの要素が絡む、という面白さがある。
いや、元々車が好きな人には自明なのだろうけれど、この漫画で初めて「自動車の競争」という世界を垣間見たので、新鮮だった。
車をチューンしたり乗り換えることでグレードアップするって、ちょっとガンダムっぽい。
バトル漫画なのに、絵柄がどことなくフェミニンだ。やたら美形が多いし、もしかしてこの作者はゲイなんじゃないか、とつまらないことを考えてしまうくらいだ(本当にどうでもいいけれど)。
車のウンチクがやたら出てくるのに、用語の解説などがなく、知らないと全然ついていけないのもイイ。分からないのに、ちゃんと読める。すごい。
未だに車種も何もサッパリ分からないが、ちゃんと続きが読みたくなっている。
ちなみに、車の描写の時にほとんど中に乗っている人が描かれないのは、どういう意図なのだろう。女の子二人組とのバトルの時に、大ゴマで乗っている人が描かれていたのが一つあったけれど、他はあまり印象に残っていない。