都市鳥研究者の唐沢孝一さんの本を三冊読みました。
スズメのお宿は街のなか―都市鳥の適応戦略 (中公新書) 唐沢 孝一 中央公論社 1989-11 |
タイトル通り、スズメの生態観察です。これが三冊の中で一番おもしろかったです。
この本で印象深かったことの一つが、殺人犯として収監されていたロバート・ストラウドの話です。彼は獄中で傷ついたスズメを保護したことから、急に鳥に興味を持ち始め、様々な鳥の保護・観察を始めました。しかもただの鳥好きに終わらず、当時未解明であったカナリアの病気の治療法を見つけ出すなど、偉大な業績を残し、1943年には『鳥の疾病の要覧』という本を出版します。ストラウドはそのまま獄中で亡くなったそうです。
都市鳥ウォッチング―平凡な鳥たちの非凡な生活 (ブルーバックス) 唐沢 孝一 講談社 1992-04 |
唐沢孝一さんにはスズメ、カラスをそれぞれ取り上げた本があるので、それらとかぶっている部分もありますが、この本は都市鳥一般を網羅的に取り上げています。
都市鳥からフォークロアへ―フィールドエッセイ・自然観察の視点 唐沢 孝一 百水社 2006-02 |
この本も他とかぶる内容があるのですが、面白いのは民間伝承や文化的文脈における鳥を取り上げていることです。八咫烏など、日本の神話・伝承における様々な鳥の位置づけが扱われています。
時々ちょっとお説教くさい内容が入るのを除くと、なかなか興味ふかいです。