女性の為の護身術、みたいのに対する批判は色んな人がしていて、いまさら屋上屋を重ねる話でもないかもしれません。
 フィジカルで圧倒的に劣っている側がちょっとした立ち関節みたいなもので大男を投げ飛ばせるなどというのはもちろん幻想ですし、多少当身やら(合法)武器やら入れても、週一二回ちょろっと習ったか細い普通の女性がまともに戦える訳がありません。
 などというのは当たり前の話で、まぁ教室側もビジネスなのでしょうし、やってる側も本気で使う気でもないでしょうから、それはそれで楽しくやれれば良いと思います。護身術無意味!などと冷笑する気はありませんよ。今が楽しければ良いですし。
 一般にちゃんと「やってる人間」でも普通に対応できるのは20kg差くらいまでですね。それくらいの差までならわたし個人はかなり経験がありますし相手はできますし圧倒した経験もあります(常に勝てるなどとは口が裂けても言いませんが笑)。30kg差となるとかなりキツイ。ただ重いだけの人なら頑張れますが、身体使える人間でかつ30kg差、しかも性差つきだと相当絶望的ですよね。
 身長はこっちも結構あるのでそんなに困りませんが、15cm以上違うと相当肚を括りますね。体重差に比べればまぁなんとか頑張れるとは思いますけど……。
 そういう物理とか商売とかそういう話はこっちに置いておいたとして、社会的心理的な面というのは非常に大きいと思います。
 「女性の為の護身術」が活用されそうな文脈にも色々あるでしょうが、広義の性犯罪的なことで言うなら、知ってる人が相手の場合がかなり多いでしょう。そういう場合、余程ブチ切れていない限り、いきなり顔面パンチとか出せないものですよ。いや、わたしはクレイジーなので普通に出せますが、一般の人は結構な心理的障壁があると思います。
 そしてちょっとでも齧っていれば誰でも知っていますが、大事なのはほんの数秒、0コンマ数秒の先手であって、このタイミングを逃すと体重差を跳ね返すのは極めて厳しくなります。完全に捕まってしまってから返すというのは、これは大変な技術が要りますよ。え、割と皆んなできるんですかね? それが本当にさらっとできるようになるならわたしも教室通いますよ(笑)。
 あとですね、気分的なものですが、「ブチ殺すぞ!」みたいな勢いで来られると割と「やってみろチンピラが!」とパッと返せるのですが、広義の性暴力的な文脈で来られると驚くほど場の空気というか、眼差しみたいのに飲まれます。普段組手慣れしていても、そっちのモードに頭が切り替わらないんですね。というか常にそっちのモードだと社会生活上むしろヤバいですし(笑)。
 わたしは一般平均に比べると技術筋力体格経験諸々かなり好条件な方ですが、一度190cmオーバーのガチムチ外人に掴まれて引きずり倒されて好き放題された恐ろしい経験があって、正直何とかできるレベルではありませんでした。幸い向こうが「ちょっとからかってやる」程度の気だったみたいで、場所的に人目もあったので大事には至りませんでしたが、あれがガチで来られたらわたしでも素手で対処できる自信は全くありません。日本刀くらい貰わないとやってられません。
 ちなみに180cmオーバーガチムチアメフト体型日本人というパターンも一回あって、これも変なタイミングで打撃なんか入れても自爆だし、体術より口八丁手八丁泣く喚くの方が余程有効でした。幸い口八丁手八丁にはかなり自信があるので助かりましたが、寿命が縮みました。
 というか何でガチムチばっか来んねん……。

よしこ画伯

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