大したセンスもない雑魚の自分用メモ

 胸骨、上腹部、腹に順に張りをもたせ、横隔膜で内蔵を下に押し付けるように腹圧を高める。腹部の各段階が分節化され、呼吸がどう腹に落ちるか観察できること。
 背中が反るのではなく臀部の掴みにより結果として背筋が伸び、むしろ背部に膨らみがあり、腹の張りに引かれて上体が倒れないこと。
 足裏で地面を掴み腿裏と臀部に緊張感を持たせる。この時仙腸関節に感覚があること。股関節が開いて張った状態でハマり、大腿骨が外から骨盤を支える感覚。可動域が狭くなる。後ろ足と臀部が確実に地についていて、前に引きずられないこと。
 内腿に挟む力、膝に張る力があり、歩法、蹴撃においても途切れないこと。常に四股を踏むように。
 広背で引き続ける感覚、押す動作でも引き続けていることで体側のつながり、腕と背の一体感を切らさない。肘と膝が水かきで繋がっている感覚。肩も開いてハマり、張りが途切れない。可動域は狭くなる。
 肘は張り、指関節の総べてが開いて張る。絞りながら開く感覚。両腕で作った空間が常に維持されること。
 後頭部で後ろを押さえる、歯は噛み締めずむしろ前歯が合い、それも合わさらず舌で上顎を支え、鼻先で相手を捉え、顎が出ず引きすぎない。首の後ろで見る。

 以上は当然の要件として常に満たされるけれど、腹を自由にしなければいけない、ということを注意されて気付いた。腹圧を保つために腹に力が入ってしまうと、体幹が棒状になり自由が損なわれる。それを支える臀部の緊張感と骨盤の張りの方に意識をやり、腹は乗せておくことによって水平移動し、歩法において上体が傾かない。
 歩法において要件をすべて満たそうとすると、ややもすると総べてが緊張し固くなる。この時「力を抜く」必要は確かにあるが、抜くことではなく締めて張りを持たせるところに意識を分散することで抜く訓練をしないと、単に「主電源の切れた」、起こりの遅い身体になってしまう。これではガチガチの身体より尚悪い。

 背と一体化した腕を作った上で、一段腰を落とし、首を縮めるように大きく掲げた腕の中に入れてしまう。この時首が出てはいけない。肩をあげるのではなく、肩そのものがなくなった感じ。腕が完全に背と一つになる。
 一見すると、ムエタイの構えのようだけれど、アップライトでは全くなく、横の張りがありスタンスが広く腰が低くすり足になる。
 上の要件が総べて満たされる長い稽古を経ていれば、この状態で驚くほど自動反応で突きなどの手技が処理できる。ほとんど意識しないで内外の打撃に対し反応できる。
 (言うまでもなく、静的状態で要件を満たし、その状態のまま自由に動ける練習を積んでいないといけない。意識の置き場所のようなものが確実に定まれば、動いても後は自動で保たれる)
 一方で、一般の突きなどは非常に出しにくい感覚になる。所謂ボクシング的な突きなどは「どうだすんや」という気持ちになる。
 けれど、近距離からの力積系の打撃はこの状態からでも使える。長距離砲や軽い手打ちの打撃とどう織り交ぜるのかは、工夫しないといけない。
 また前蹴り以外の蹴りも出しにくい。この辺は距離で戦術を切り替える等しないとなかなか使い分けが難しい。
 例えば上段を蹴る時は、股関節のハマりを一旦解除するような操作が必要になる。下段ならハメたまま重い打撃を出せるが(それもフルコン等で行われるように歩法と組み合わせて運用しなければ良いインパクトも難しいし何よりパンチのカウンターを貰うが)、可動域が狭くなっているので上段を蹴れない。一旦外してインパクトの直前にハメる感覚がある。
 また、この姿勢から体重の乗った中段前蹴りを手で処理する方法がよく指導されるが、個人的にはかなり不安がある。十分に体重が乗っていることを見切る必要があり、足技主体でやっていた昔取った杵柄からして、足を手で処理するのは何にせよかなり怖い。キャッチできてしまうような場合を除き、できるだけ足で処理したくなる(原理からは外れるのだろうけれど)。
 (こういうのは同じ足技屋の先輩と与太話的によく話し合っていたけれど、特に解には辿り着いていない)
 この辺りを杓子定規にならず、実闘の中でどう運用していくのかは、センスや経験に左右されるのだろう。ただ、センスで決まるようなところに目を奪われると大体物事曖昧になるので、最初にそれを考えるのではなく、あくまで付随的な課題として捉えた方が良いように思う。

 以上、大したセンスもない雑魚の自分用メモ。
 先に進む以前に、今できるはずのポイント総べてがいつでも同時に実現できることだけを目指す、誠に慎ましい理想しか持っていない。弱いからね。

よしこ画伯

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