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漢の人間ピラミッド

 人間ピラミッド問題が盛り上がってますな。
 ああいう無茶な組み体操は普通にやめた方がいいかと思うけれど、「親やそれに類する指導的立場の人間が子供にスポーツや武道などを半強制的にやらせる」ことについては、全部が全部NGというわけでもないと思う。
 子供もいないので何の確証もないのだけれど、どういう場合なら多少なりとも許せるかというと、親自身が本気でそれを愛していて、自分自身が打ち込んでいる場合じゃないか。
 例えば親が本気で剣道をやっていて、剣道の素晴らしさを確信している時、子供が多少イヤがっても、無理やりやらせることには意義があると思う。
 それも程度問題なので、あまりに酷い場合はやっぱりやめた方が良いだろうけれど、親(やそれに類する人)自身が実践者で、ちゃんと「それ」を愛しているなら、やがて相手にもそういうものは伝わるのではないかと思う。伝わらないかな。伝わらなかったらゴメン。
 「子供は親の言うことではなくやることを真似る」とかいうけれど、人が本気でやってると、見ている方もなんか納得させられてしまうことがある。
 まぁ実際はそうでもない場合もあったり、色々なんだろうけれど、何が言いたいかというと、自分がやりたくもないことを人にさせるな!ということだ。
 人間ピラミッドだって、教師ら自身が本気で値打ちを信じていて、「俺は死んでもピラミッドやるぞおおおぉ!」くらいの気合いがあるなら、無理やり人にやらせてみてもいい。人のそういう燃えたぎるような信念を、安全とか教育とかそんな小奇麗なもので止められるものではない。そんな人に出会ってしまったのも運命や。共に死ね!
 でも、学校の組み体操とか、そうじゃないわけですやん?
 それともそんくらい本気なの?
 本気だ!って言うなら本気を見せてくれよ。いや、マジで見たいよ。アンタの漢ってモンをよ。
 そういうね、自分がやる気もない、やりたくもないことを人にさせるのがかっこ悪いのよ。

 いや、ほんと言うとね、「やりたくもないことを人にやらせる」ことには教育的効果があると思うのよ。
 だって世の中、「やりたくもないことを人にやらせる」人が沢山いて、そういう人らにこき使われる人材を育てる、という使命が学校にはあるんだろうから。
 クソーと思いながらも踏ん張って言いなりになって、そのうち上に立ってまたこき使うんやろ。それこそピラミッドやな。
 あたしゃだから学校なんか全く適応できなかったし、もう学校なんて解散したらいいと思ってるけど、やっぱそれじゃ世の中回らないんやろね。
 実際、ピラミッドとかそれに類することを気合いで乗り切って、立派に世の中でやっていく人は沢山いると思うよ。ウチなんかよりまともな社会人(会社人)なんじゃないかな。
 そういうことを、多くの人は分かっていて、だから「やりたくもないことを人にやらせる」なんて大雑把なことを叩くんじゃなくて、安全性でものを考えるんだろう。
 ピラミッド、キケン。だからもっと安全に従順な人間を育てましょう。
 いや、いいですよそれで。筋が通ってると思う。
 筋が通りすぎてクソ面白くもないけれど。

 理解して分かって好きでやる、というのはまぁ普通なんだけれど、それじゃぁあんまり大きいことはできないのよ。
 ほんとに凄い師匠の言うことというのは、聞いてもよく分かんないの。分かんなくても「わかりません」とか言ってちゃダメなのよ。言うと殴られるから、とりあえず「はい」とか「押忍」とか言っておくの。お腹の中で「うぜーなコイツ」とか思っててもいいけど。
 でも言ったことはとりあえず覚えておいて、そのうち分かる日が来るかな、と思ってないといけない。
 そうやって、はじめて自分以上のものが自分の中に入ってくるわけでしょ。
 だから子供だのホゴシャだのが分かるようなことだけやってちゃつまらん、というのはあるのだけれど、ここで大事なのは、やっぱその師匠が本気だってことよ。
 それで、その本気の師匠のことを、よく分かんないなりに信じられるってことよ。
 もっと言えば師匠が好きってことよ。
 それがなきゃどうにもなんない。
 でもそんな熱い師弟関係なんて、今時そうそう成り立たせられるわけがないし、まして有象無象が放り込まれる学校教育なんかでできるわけもない。
 だから分不相応な漢のピラミッドとかやめときな。

 あたしゃ見たいけどね、本物の漢たちがつくり上げるバベルのようなピラミッドというものを。
 そして死ね!
 骨は拾ってやる。

よしこ画伯

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よしこ画伯

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