空手小公子 小日向海流

空手小公子 小日向海流(1) (ヤンマガKC (883))
馬場 康誌
講談社 2000-07-04

 「空手小公子 小日向海流」は連載開始当初から読んでいるのですが、最近になってまた読み返しました。
 これは変な漫画ですよねぇ。当初はこんなに続くとは思っていませんでいた。
 格闘漫画なのに初戦が対剣道。その後も忍者が出てきたり変則パターンが続きます。
 大抵の格闘漫画というのは、主人公が敵を倒しては成長し、またもっと強い敵を倒し、という、バトル漫画のインフレ構造がベースにあるわけですが、小日向海流はこの構造が非常に弱いです。主人公も勝ったり負けたりで、コレというライバルもいない。やたらすぐに新キャラが登場し、決まった人間関係の中でグツグツとバトルエネルギーが煮詰められていく、という、格闘漫画の基本から常にズレていきます。
 いや、この枠組に全く収まらないということではなく、一応ある程度は収まっているのですが、そこから常に「ズレる」のです。このまま煮詰まっていくのかなー、と思ったら、あっさりその枠組が捨てられて新キャラ登場、みたいな流れがいつもあります。何なんでしょうこれ。
 そもそも、主人公があまり魅力がない。
 多分この漫画は腐女子需要があって、その辺には受けているのかもしれませんが、格闘漫画としては異例なほど、主人公のキャラが立っていません。
 これに対し、武藤や伊吹は初盤から非常に立ったキャラだったのですが、敢えて彼らを中心に引き立てず、挙句の果てに海外に飛ばされてしまいます。そうしないと小日向が全然活躍できない、ということだったのでしょうが・・。
 これだけ崩れていたら、格闘漫画として面白くなくなって、すぐに連載終了してもおかしくないのですが、不思議なことに、結果的には結構面白いです。最近はややダレ気味なところもありますが、特に二十巻くらいまでは非常に面白い。とりわけカオルちゃん周りは非常に引き込まれます。
 個人的には、最初の頃のプロのリングにあがる前の展開の方が好きだったので、時々あの雰囲気を取り戻してくれたら嬉しいです。

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